塩らしいとかしょっぱいとかいらない子みたいに!
というように塩にまつわる表現というのはマイナス表現が多い。
青菜に塩とか傷口に塩なんて表現もあるよな。
おまけに近代になって、高血圧の原因とされたりもしている。
まぁ実際、例えば東北なんかではかつては塩分摂取量が一日15g
とかそういうレベルだったから、そらあかんやろともいいたくなる。
実際高血圧のファクターのひとつであるのもほぼ間違いない。
WHOなどの勧告では一日平均7g程度に抑えろとすら言っている。
厚生労働省では一日10g程度という話であるが、これでもWHOから
したら多すぎる、というのだろう。
ただ、今度摂取量を落とすとなると、下手すると今度は必要量すら
取れなくなってしまう場合も往々にして出てくるだろう。
まぁ普通に暮らしていればまず無いとはいえるが、極端な減塩は
さすがに命に関わる。
最低でも1g以上、成人男性の場合、尿などから失われるナトリウムが
一日あたり600mgと推定され、Naの分子量23、NaClの分子量58.5に
換算すると1.5g程度は摂取しないとやばい。冗談抜きに。
運動などを行う人、発汗を伴う状況でも必要である。
特に下痢などでは大量に失われるので補給は必須である。最悪死ぬ。
高温多湿の地域だとより多く必要である。発汗などの関係である。
例えば汗を200mlかけば塩分はそれだけで1.3g喪失することになる。
大量に汗をかくと塩分の消失量はどんどん増大する。
肉体労働を行う人たちの食事が濃い目の味付けなのはそのためだ。
何も嗜好とかそういうものだけで選ばれているわけではない。
顔が濃いほうが好きとかそういうレベルではないのだ。
もっともスポーツドリンクが最近になって進歩したおかげで電解質不足は
減ったように思えるが、地球温暖化のせいか熱中症などはむしろ増えてる
んだよなぁ…特にヨーロッパとかしゃれになってない。
さておき、似たような感じで、南の方の国の味付けが濃いのにもその影響も
あると考えられる。まぁ別の要因も大きいのだけれどもね。
腐りやすいものに対する対策であるとかいう側面も大きい。
逆に言うと、である。
運動をがんがん行って大量に汗をかけば、減塩に匹敵する効果がある、と
こういうことにならないかと思うのだが。
まぁ高血圧にすでになっていたりしたら無理な運動は危なそうなので
適度な運動をお薦めですが。
なんで塩分が一日最低でも1.5g以上必要なのか。
塩分と一言で言ってきたが、要はナトリウムが必要なのである。
一番摂取しやすい形が塩化ナトリウムである、それだけである。
で、そのナトリウムが体内で果たす役割のうち、一番大きい役割は何かと
いうと、体内での水分の安定した保持の役割である。
浸透圧という言葉を聴いたことがあるだろうけれども、ナトリウムの濃度が
体液中に一定量あると、水分を保持する際に使われるエネルギーはそれだけ
減ることになる。
また、ナトリウムとカリウムは神経伝達、筋収縮などに非常に関与している
わけで、そういう意味でも重要である。
大量の発汗などにより塩分濃度が極端に減少すると、水分だけ補給しても
筋肉内のナトリウム濃度、浸透圧はむしろ減少するため、筋肉に水分が
侵入しけいれん(熱けいれん)を引き起こすこととなる。
そんな感じで一気に失うと結構やばいのが塩分なのだが、一番ヤバイ状況は
下痢などによる急激なナトリウムの消失である。
発展途上国の子供たちが下痢で死ぬのは急激なナトリウムの消失により、
体内の浸透圧に異常が起こり、水分維持がまともに出来なくなるためだ。
そもそも、日本とかは周辺が海なので塩分の摂取は比較的容易なのだが、
内陸とかだったら大変だし。何でそんなところ住むんだよ人間。
っていうかそれ言い出したら実際にはきりが無くて、魚類が海から
川に逃げ込んだ時点がすでに問題だったのだ。いつの話だ。
まぁ確かに海には獰猛な甲殻類が住んでたし、いたくない気持ちもわかる。
でもな、川に逃げ込むってのはそっちはがけ…じゃ無くってナトリウムなど
必須のミネラルが不足するという側面を常時はらむ選択だったろと。
そのミネラルの不足を補うために骨を作り…実際我々の骨の中にも
大量のナトリウムも含まれている。
…ただ、その選択のせいで下痢すりゃミネラル不足で死ぬ場合もあるし、
発汗によってもナトリウム不足になることもあるし…もっとも日本人は
どっちかってと実際には取りすぎなんだけどな。
じゃあ別にいいじゃんって言われそうだけど…以前液体生活したときと
下痢のとき痛感した。いる。やっぱりいる。塩化ナトリウム大事。
健康と同じかもしれない。足りなくなって始めてわかる。
無論塩分を取りすぎると良くないのは確かだし、実際取りすぎてるのも
確かだが…やっぱりいるんだよ。塩は。
ところで、話全然変わるのだが、バソプレッシンというホルモンは水分の
維持に関わるのだが、このホルモン、恋愛感情にも関係する可能性が
あるといわれている。もしそうなら恋をすると、のどが渇く、ということになる。
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